こんにちは、チーウーです。
今回の記事はこれから新卒や中途で購買部門、調達部門を目指す方向けに書いています。
最近若手に『購買と調達の違いってなんですか?』って聞かれたことがありました。
結論を言うと企業における購買と調達の違いは明確に定義されていません。
会社によっては購買部門と呼んだり調達部門と呼んだり様々なところが実情です。
例えばですが、新卒や中途で購買部門を志望する時に『ところで、購買部門と調達部門の違い、わかる?』とか言う、う○こみたいな質問は間違いなく飛んできません。
もしそんなう○こみたいな質問飛んでくるような会社であれば、その会社がう○こなので『違いはう○こです!!』くらいの回答ぶちかまして退出して大丈夫です。
話は少しそれましたが、購買部門も調達部門もつまるところ、会社の事業活動に必要なモノを調達してくることを指します。
例えばですが私が働いているメーカーであれば事業活動の根幹は勿論「モノづくり」です。
なので「モノづくり」に必要な、例えばネジであったりプラスチック部品であったり電子部品なんかを購買します。
ネット上には購買と調達の違いを、さも違いありげに書いてある記事がありますが、現役の購買・調達担当者から言わせれば違いは無いと言っていいです。
最早語源を辿るレベルの違いなので明確に区別を理解する必要がありません。
そして会社の中ではその語源と辿るレベルの違いで部署が分かれていることはありません。
では購買の中で役割が分かれる活動は何があるのでしょうか?
分かれるとすれば開発購買・安定調達・ASP(アフターサービス)調達で別れることがあります。
開発購買
開発購買とはモノづくりの設計段階から入り込んだ購買活動の事を指します。
設計段階から購買・調達部門として入り込むことで、安価で安定した品質の部材の調達を可能にします。
また企業における新製品の設計活動にも影響を与えることも開発購買の業務の一つです。
例えばベアリングを例に挙げましょう。
ベアリングは小さいもので1㎜のモノから15mを超えるものまで多種多様な種類がぞんざいしています。
そんなベアリングの採用方針に明確な指針を示すのが開発購買の役割です。
『今後のベアリング市場で大きな地位を占めるのが**㎜のベアリングであり、このサイズが業界標準となっていきます。なので新製品においては**㎜のベアリングを使用することで業界としてのスケールメリットを享受でき、より安価で安定した製品供給が実現できます』的な提案を開発購買でしていきます。
ここでは成熟産業であるベアリングを例にとりましたが、他の部材でも開発購買としての進め方に大きな違いはありません。
ただ新製品の設計活動に影響を与える提案に関していえば、上記はほんの一例にすぎません。
業界標準を調査することもそうですが、SWOT分析を行う、市場の成長性見極める、供給可能なサプライヤーは何社あるのか、など新製品の設計活動に影響を及ぼすために必要なことは多様に及びます。
なんども言いますが、新製品の設計活動に影響を与えることは開発購買の業務のほんの一例にすぎません。
開発購買の業務についてはまた別の機会にまとめたいと思います。
安定調達
安定調達は読んで字のごとく、部材の安定した調達を主な責務とします。
昨今は電子部品の調達難が叫ばれる世の中ですが、その中でもなんとしてでも部材の確保し製品供給を死守しています。
安定調達は部材の安定した供給を主軸に置いているので、価格の交渉に入ることはありません。
ただ部品のディスコン*(discontinued)や4M**変更に関わるところには大いに関係します。
*ディスコン(discontinued)…調達界隈では部品の供給が終了するときに使われる言葉です。供給が終了する背景は様々ですが、不採算での事業撤退や部材調達難などがあげられます。似た言葉にEOL(End Of Life)という言葉がありますが、EOLは基本的に予定されていた製品・部品供給期間が終了したときに使われます。
**4M…生産の現場で品質管理を行う上で必須となる4つの要素を言います。Material,Man.Method,Machineで構成されこのうちの1つでも変更がある場合は、品質に大きな影響を及ぼすため4Mという言葉で表されます。
安定調達についても、ここで表すには過大なので別記事で説明したいと思います。
ASP(After Service Parts)調達
ASP調達はメーカーではかなりポピュラーな言い方で、After Service Partsの頭文字をとってASPと呼んでいます。
メーカーは製品の量産が終わった後でもある一定の期間、部品を供給して製品を修理できるようにしています。
この修理するための部品の事をAfter Service Partsと呼んでいます。
ASPの舞台は安定調達が担っている場合もありますし、製品群が膨大かつ使用する部品数が大きければ専門の部隊がいることが普通です。
時にはCS(Customer Satisfaction)部隊や、品質保証部門が担っている場合もありますが、業務自体には大きな変化はありません。
まとめ
購買と調達に大きな違いはありません、それよりも大切なのは開発購買・安定調達・ASP調達の業務区分を理解していることだと思います。
今回の解説記事が新卒・既卒・中途の皆さんの就職・転職の一個の指針になることを願っています。
今回の記事は以上です、ご覧いただきありがとうございました。