今回はメーカーにおける購買部門は花形部門かどうかについて書いていきたいと思います。
きっかけは新年度になり、新入社員の方から「購買・調達部門の部門としての序列は高いですか?」と聞かれたことです。
自分が新入社員の頃は、部門のパワーバランスなんて気にしたことがなかったので、「よく考えてるな~」と思ったと同時に、会社で上を目指そうとしている人にとってはかなり大きい環境要因だなとも思いました。
確かにメーカーにおける購買部門・調達部門は花形部署と言われることがありますし、社長やCEOが購買・調達部門のTOPだった人って場合もあります。
ただ実際のところはどうなのかってのを徒然に書いていきたいと思います。
購買部門は花形
ぶっちゃけると、主観的で抽象的な表現になりますが、私の勤めている会社では調達・購買部門は比較的花形部門の位置に居ると思います。
ただ、当たり前ですが会社によって各部門のパワーバランスは様々です。
なので「購買部門は花形!!」とか「購買部門は日陰部門!!」みたいな断定は間違いなくできません。
あくまでも私の場合と言う前提で、一つの参考例として受け止めください。
それを踏まえたうえで、何故私の勤めている会社において購買・調達部門が花形部門寄りの位置に居るか書いていきたいと思います。
理由はいくつかありますが、代表的な例を挙げると以下の3点が大きいと思っています。
- 先人の購買・調達部門の努力
- メーカーとしての購買・調達部門の重要性の認識
- 比較的大きい購買力を有している
先人の購買・調達部門の努力
この要因はかなり大きいです。
先人が切り拓いた購買・調達部門としての地位の確立があったからこそ、現在の地位につけていると強く思います。
先人たちの努力は沢山ありますが、以下が代表的に思いつく例です。
- 部品の発注は必ず購買・調達部門を通すことを徹底し、会社の窓口としての地位を確立した
- サプライヤーの選定権限は購買・調達部門にしかないと周知し、商品化プロセスにおいての購買部門の立ち位置を明確にした
- 合理化の為に関係部門を巻き込み大きな設計変更を実施し、大きな事業利益を生み出している
先人たちが社内規定上の立ち位置以上に、購買・調達部門としての必要性を内外に広く周知したおかげて、新製品開発においても量産プロセスにおいても、購買・調達部門の重要性は高くなっています
確かに、形上の購買・調達部門は他社には存在していると聞いたことはあります。
部門としての序列は高くなく、設計・技術・開発の指示されるがままに、部品/サプライヤーの選定を行っていると。
ただそれって、購買・調達部門て言うより、ただの御用聞き部門ですよね?
購買部門としては、部品/サプライヤーの選定権限を持つと同時に、技術職と同等とはいかないまでも、購買部門から逆提案しコストダウンやプロセスの簡略化に努めることが使命の一つだと思います。
そういったプロセスを購買・調達部門に残していった先人たちの努力のおかげで、比較的大きい立ち位置を確保できています。
メーカーとしての購買・調達部門の重要性の認識
メーカーという立場上、部品費の大小が利益に大きく直結します。
その点において購買・調達部門の部門としての重要性はかなり高いです。
そして先人たちがここでも大きな成果を残してくれていることが大きいです。
単純な部品費のコストダウンは勿論重要です。
市況を踏まえて、コストダウン交渉やアライアンスを組むことでの戦略的価格の獲得等、あの手この手でコストダウンをもぎ取ってきます。
それだけでなく、技術・設計への部品の逆提案でVA/VEを実現していくことも購買・調達部門の使命です。
既存の材質や成分から変更することでコストダウンを図れないか?構造上、Aと言う部品をBに置き換えることは出来ないか?など技術面に寄り添った活動もしていきます。
そしてここで実現したコストダウンが企業の利益に直結していきます。
購買・調達部門は利益に大きく貢献できる部門として、会社の中でも重要な立ち位置に居ます。
比較的大きな購買力を有している
これは会社の大きさにかなり依存する内容です。
私が勤めている会社は世間から見て、かなり売り上げの大きい会社に入ると思います。
その会社での購買なので、一人当たりの購買金額も半端じゃないです。
購買金額が半端じゃなくなると、サプライヤーへの交渉力の強さも比例して大きくなっていきます。
交渉力が大きくなると自分たちに有利な条件を引きだしやすくなり、価格含めた購買条件を有利に運ぶことができます。
結果として、大きな成果を上げやすくなり購買部門としての重要性を更に確固たるものにできます。
購買部門出身のTOP
日系で言うと、日産自動車の内田誠さんが購買部門経由でのCEOです
日産自動車は購買部門がかなり強いと聞いており、前CEOの西川さん、山内さんに続いて購買出身者がCEOについています。
またホンダの前社長でもある八郷さんも本田技研の購買部門出身です。
他にもトヨタ紡績の社長の白柳さんも購買部門出身のTOPです。
探せば沢山いらっしゃるかと思いますが、出世と言う観点から見ても購買部門が花形ではないということはなさそうですね。
私の会社でも購買部門出身者が役員になっていますので、やはり力が弱いという風には感じません。(購買→社長は未だいませんが...)
まとめ
購買・調達部門は花形部門にもなり得ますが、会社によっては設計・技術・開発部門が強い会社があることも確かです。
ただそんな会社でも購買・調達部門の重要性が絶対的に低くなることはないはずです。
購買・調達部門に配属された皆さんに置かれましては、全力で楽しめることを祈っています!
今回の記事は以上です、ご覧いただきありがとうございました。